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外壁塗装の「養生」とは?目的や必要な箇所、種類、注意点などを解説
2017.02.10
外壁塗装の業者に見積もりを依頼した際、「養生」という言葉を目にする機会があるでしょう。
「養生って何?本当に必要な物なの?」
「養生に結構費用がかかっているけれど、相場ってどのくらい?」
など、こちらの記事をご覧になっている方のなかにも、養生についてさまざまな疑問を抱いている方がいるでしょう。
そこで今回は、養生にはどのような目的があるのか、必要な箇所や費用相場などを解説します。養生について押さえておきたい注意点も解説しますので、外壁塗装を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
外壁塗装の養生とは?2つの目的がある
外壁塗装を行う際、養生は必須の工程の一つです。
塗装工事における養生とは、塗料が付着すると困る部分をマスキングテープやビニールで保護することを指します。一見、それほど重要な工程ではないように思われがちですが、以下の2つの目的があります。
・目的1:建物や建物周辺を保護する
・目的2:外壁塗装をきれいに仕上げる
それぞれの目的について、詳しく見ていきましょう。
目的1:建物や建物周辺を保護する
外壁塗装に使用する塗料は液体であり、注意して施工しても塗装が不要な部分まで塗料が付着してしまう恐れがあります。そこで、窓やエアコンの室外機、雨どいなど、塗装が不要であり、なおかつ塗料の付着・飛散が予測できる箇所はテープやビニールシートで養生を行います。また、近隣の建物や車、通行人に塗料が、予測できない箇所にも塗料が付着する恐れがあるため、建物全体を飛散防止ネットで覆います。
このように、建物やその周辺を保護することが養生の目的の一つです。
目的2:外壁塗装をきれいに仕上げる
養生は、塗装が不要な箇所を保護する目的のほか、外壁塗装をきれいに仕上げるという目的もあります。というのも、塗装が必要な箇所と不要な箇所の境目や、塗り分けする部分の境目に養生テープをまっすぐ貼っておくと、塗装の際に美しいラインが出せるようになるからです。
仮に塗り分けが必要な部分に養生をしていなければ、ラインがガタガタになってきれいな仕上がりになりません。つまり、養生は外壁塗装をきれいに仕上げるためにも重要な工程なのです。
外壁塗装で必要な養生の箇所と種類
外壁塗装は10〜14日の施工期間が一般的で、全体としては以下のような流れで施工が行われます。
工程 | 期間 |
近隣あいさつ | 1日目 |
足場組み立て | 2日目 |
高圧洗浄 | 3日目 |
養生 | 4日目 |
下地処理 | 5日目 |
下塗り | 6日目 |
中塗り | 7日目 |
上塗り | 8日目 |
完了検査 | 9日目 |
足場解体・片付け | 10日目 |
養生は高圧洗浄と下地処理の間に行われる工程であり、住宅の大きさにもよりますが、半日〜1日かけて行われるのが一般的です。取り払うタイミングは塗装後が多いですが、箇所によってタイミングが異なるため、気になる方は業者に確認してみてください。
では、どのような箇所に養生が必要なのか見ていきましょう。
窓・植栽
窓や植栽の養生には「マスカー」というビニールシートとテープがセットになった道具を使用します。マスカーは開口部や植栽など、比較的大きな面積をまとめて養生するのに役立つ道具であり、塗装現場で頻繁に使用されます。ただし、植栽は大きさによってマスカーではない養生が行われることもあります。
なお、ビニール部分は簡単に破れるため、通気を確保したい窓は一部分だけを破ることもでき、状況に応じてさまざまなニーズに対応できる点も魅力です。
付帯物・小物(ポスト・表札など)
マスカーは窓や植栽のほか、ポストや表札などの付帯物・小物を養生するときにも役立ちます。また、ポストは何日も養生で開けられない状態だと不便であるため、マスカーのビニールの一部をカットするとよいでしょう。
エアコン室外機
エアコンの室外機は、「室外機カバー」を使用して養生します。ここでもマスカーを使用すればいいと思われるかもしれませんが、エアコンの室外機が密閉されてしまい使用できなくなったり、故障の原因になったりする可能性があります。
そこで、空気の通り道を塞がない専用の室外機カバーを使用するのが一般的です。室外機カバーを使用すると、施工期間中もエアコンを使用できて便利です。
車
外壁塗装では、車にも塗料が付着する恐れがあり、車を養生するために「カーシート」が使われます。カーシートは不織布でできているため傷つきにくく、1枚で車やバイクをまるごとカバーできるようになっているので着脱が簡単です。依頼者の車だけでなく、周辺環境によっては近隣の車にもカーシートで養生されることがあり、近隣住民とのトラブルを防止するための重要な役割を担っています。
玄関・ベランダ
「ノンスリップマスカー」は、玄関やベランダなどの人が通る場所を保護するための養生です。窓や植栽を養生するときに使用するマスカーと基本的な構造は同じですが、ビニール部分が破れにくく、踏んでも滑りにくいため安全に配慮されていることが特徴です。
塗り分け部分
塗装部分と塗装が不要な部分のラインや、色分け部分のラインをきれいに出すために行われる養生には「マスキングテープ」が使われます。使用するのは施工のときだけなので、あまり見かけることはありませんが、塗装をきれいに仕上げるための重要な役割を担っています。
建物全体
これまで解説した通り、塗装が不要であり、なおかつ塗料の付着・飛散が予測できる箇所はマスカーやカーシートで養生が行われます。しかし、、風などの影響を受けて塗料やホコリが予期せぬところまで飛散する恐れがあるため、飛散防止ネットが施工されます。「飛散防止ネット」とは、足場に取り付けられるメッシュシートのことであり、シートが足回り全体に施工されます。このネットがあれば、塗料や高圧洗浄の水が周囲に飛ぶリスクを大幅に減少できるため、外壁塗装では欠かせない養生の一つです。
外壁塗装の養生の費用相場
「養生の費用相場ってどのくらい?」
「見積もりに記載されている養生費用が相場通りか知りたい」
という方もいるでしょう。
養生の費用は1㎡あたり300円前後が相場です。たとえば、30坪の住宅に対する塗装面積は約118.8㎡であるため「300円×118.8㎡=41,580円」が相場であると算出できます。
ただし、住宅の形状や大きさなどで養生の価格が変わるため、あくまで目安として考えてください。
また、「植栽や車の養生代は含まれているのか」を事前に確認することが大切です。植栽や車のほかにも、養生して欲しい箇所があればあらかじめ伝えておくようにしましょう。養生の費用に対してどのくらいの範囲が含まれているのか確認しておくことで、トラブル防止につながります。
外壁塗装の養生について押さえておきたい注意点
外壁塗装の養生について、押さえておきたい3つの注意点を解説します。
窓が開けられなくなる
外壁塗装の際に窓周辺をしっかりと養生することは重要ですが、養生を行うことで基本的に窓の開閉ができなくなります。窓やサッシを塗料で汚さないためのものなので、養生を行わないことはできませんが、どうしても開けたい窓がある場合は打ち合わせの段階で相談しておきましょう。
なお、すでに養生された段階で勝手に窓を開けてしまうと、養生が外れてトラブルになるため、事前に相談しておくことが大切です。
植栽が枯れる可能性がある
植栽はマスカーを使って養生するのが一般的ですが、日当たりが悪くなったり、酸素が不足したりすることで枯れるリスクがあります。大切にしたい植栽については、塗装期間中だけ養生してもらう、もしくは一時的に別の場所に移動するなどの対策を考えましょう。
養生が適当だとトラブルの元になる
養生が不十分または適当に行われた場合、塗料が飛散して車や植栽を汚したり、施工不良になったりする可能性があります。さらに、近隣の住宅や車に塗料が飛んでしまい、トラブルになることも少なくありません。そのため、どの範囲で養生が行われるのか確認するのはもちろん、きちんと施工してくれる業者に依頼するようにしましょう。養生の大切さを理解し、丁寧に対応してくれる業者でなければ、トラブルに発展しやすくなります。
なお、業者を選ぶときは、過去の施工実績や口コミ・評価、業者の対応やサービスなどに注目すると、信頼性を見極めやすくなります。
外壁塗装の養生に関するよくある疑問
最後に、外壁塗装の養生についてよくある質問を確認しておきましょう。
開閉したい窓や勝手口はどうしたらいいの?
先に解説した通り、外壁塗装では窓やサッシ、勝手口にも養生が行われるため、施工期間中は窓や勝手口を開閉できなくなるのが一般的です。しかし、
「空気の入れ替えのために窓を開けたい」
「お風呂の窓は湿気が溜まらないように開けておきたい」
「勝手口は頻繁に使うため、何日も使えないのは不便……」
と感じる方もいるでしょう。
そこで、開閉したい窓や勝手口については、打ち合わせの段階で伝えておくようにしましょう。養生のはり方を工夫したり、作業後に養生を外したりするなどの対応を取ってもらえることがあります。
ただし、すでに養生が行われた段階で相談しても対応できないケースがあるので、施工前に相談しておくことが大切です。
エアコンは使用可能?
外壁塗装期間中は、エアコンの室外機にも養生が行われますが、空気の出入りが可能な専用のエアコンカバーが使われるため、基本的にエアコンは使用可能です。基本的に窓が開けられなくなるため、季節によってはエアコンを使用する確率は高いでしょう。使用可能かどうか不安な場合は、あらかじめ確認しておくことをおすすめします。
まとめ
今回は外壁塗装の養生について解説しました。外壁塗装を行ううえで養生は必須の工程であり、塗装不要な箇所を保護したり、きれいに塗装を仕上げたりするために重要な役割を担っています。
ただ、ひとえに養生といっても必要な箇所は複数あるため、どのような箇所にどのような養生が必要なのか確認し、費用相場や注意点を認識しておくことが大切です。また、養生期間中は窓や勝手口が使えなくなることが基本なので、施工期間中に開閉したい箇所がある場合は打ち合わせの段階で相談しておくようにしましょう。
ぜひ今回の記事を参考に、養生のことを理解して、ストレスのない外壁塗装を実現してください。
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